妻の乳がん闘病体験記3
『妻の乳がん闘病体験記3』
がんと診断を受けてもすぐに手術となるわけではありません。
いろんな精密検査をして、その結果に従って治療方針が決まります。
この検査を受けながら結果を待つ時間が、
何とも言えない心地の悪い時間です。
妻の場合、幸いにして他臓器への転移はこの時点では見つかりませんでした。
手術は告知から約2週間後に決まりました。
もともと151cmと小柄で45kgほどしかなかった妻の体重は、
この間に心労から40kgを切るほどになっていました。
手術の内容は、左乳房の全摘出です。
そして他の外科手術と大きく異なるのが、手術で治療が終わりになるのではなく、
そこから治療がスタートするということです。
入院したのは乳腺外科の病棟で、
その多くががんを患った人たちです。
抗がん剤の影響で頭髪が抜けてしまったのか、
頭をバンダナで覆った人も多く見かけました。
そのことは自分たちの置かれている状況を再認識させるには十分なものでした。
手術自体は3時間ほどで終わりました。
そして摘出された組織の細胞診の結果を待ちます。
胸の筋肉への転移は見当たりませんでしたが、
一緒に摘出したリンパ節25個のうち、数個からがん細胞が見つかりました。
センチネルリンパ節といわれるこのリンパ節は、
リンパに入ったがんが最初にたどりつくところで、
ここでがんが見つからなければ転移の可能性は低くなると聞かされていました。
リンパ節でがんが見つかっても転移とは言わないらしいですが、
がんが見つかったことで、今後の転移の可能性は決して小さくはないということになります。
治療を受ける上で昔と大きく異なるのは、
インターネット等の普及により、
素人でも調べれば自分がどういう治療を受けていて、
どういう状態なのかわかってしまうということです。
私も素人なりにどういう状態なのか調べました。
そして導きだしたのは5年生存率60%という数字でした。